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永住許可ガイドライン改定案(2026年8月)で確認したいポイント

  • 千代田国際行政書士事務所
  • 2 日前
  • 読了時間: 10分
2026年8月公表の永住許可ガイドライン改定案の主な変更点。年収、年金・金融資産、日本語能力B1、制度理解、配偶者特例、長期出国、子どもの就学、適用時期を整理した図。


2026年8月4日、出入国在留管理庁は「永住許可に関するガイドライン改定案」を公表しました。


今回の改定案では、これまで比較的抽象的に示されていた永住許可の審査について、年収・将来の年金受給見込額・日本語能力・日本の制度やルールへの理解など、具体的な考慮要素が新たに示されています。また、日本人や永住者等の配偶者などに認められている在留期間の特例についても、大きな変更が予定されています。


本記事では、2026年8月に公表された改定案の中から、永住許可を検討している方への影響が特に大きいポイントを整理します。



目次




まず確認:今回公表されたものは「改定案」です


今回公表されたものは、あくまで「永住許可に関するガイドライン改定案」です。


出入国在留管理庁では、2026年8月4日から9月4日までパブリックコメントを実施しており、その後、最終的なガイドラインが決定される予定です。


現時点では、年収の具体的な水準・日本語能力の確認方法・必要な金融資産額など、まだ明らかになっていない部分があります。


そのため、報道等で示されている数字だけを見て、

  • 「この年収では永住できない」

  • 「年金を30年間払っていないと申請できない」

などと判断するのは早いといえます。


年収・年金・日本語能力など、今回具体化された審査上の要素の多くは、永住許可の可否を一律に決める「足切り基準」として示されているものではなく、審査に当たっての「考慮要素」として示されています。


永住許可は、申請者ごとの事情を総合的に考慮して判断される点も押さえておくことが重要です。


適用時期:いつから変わる?


今回の改定案では、すべての内容が同じ時期から適用されるわけではありません。


先に適用時期の全体像を把握したうえで、各内容を確認することをお勧めします。



収入・「公共の負担とならないこと」に関する考え方


ガイドラインの改定日は、2026年10月1日が予定されています。

収入および「公共の負担とならないこと」に関する考慮要素については、

「改定日の6か月前以降に申請され、かつ、改定日の時点で審査中の案件」

にも適用するとされています。


そのため、2026年4月1日以降に永住許可申請を行い、2026年10月1日時点でも審査が続いている案件については、新しい考え方が適用される可能性があります。


単純に「2027年4月までは現在の考え方だけで審査される」と判断することはできません。



その他の改定内容


年金・日本語能力・日本の制度やルールへの理解・配偶者等の在留期間特例など、その他の改定内容については、原則として2027年4月1日以降に行う永住許可申請から適用される予定です。



今回の改定案の主な変更点

項目

変更の概要

年収

世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準が考慮要素に

年金

将来の年金受給見込額が考慮要素に。不足する場合は金融資産による補填も考慮

日本語能力

B1相当以上の日本語能力が考慮要素に

制度理解

日本の制度・ルールへの理解が考慮要素に

配偶者等の特例

婚姻継続期間3年以上→5年以上、日本在留1年以上→3年以上へ延長

長期出国

合理的な理由のない長期出国についての考え方が明確化

子の就学

学齢期の子どもの就学状況が考慮要素に



1. 年収は「世帯人数に応じた水準」が考慮要素に


現在の永住許可ガイドラインでは、独立生計要件について、

「日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」とされています。


今回の改定案では、この考え方がさらに具体化されました。


原則として、申請者が属する世帯の年収が、

「世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準」

に継続して達しているかが、審査上の考慮要素として示されています。


改定案には、現時点で「年収○○万円以上」といった一律の金額は記載されていません。


また、判断の単位は申請者本人だけではなく、原則として「同一生計世帯」となります。

ただし、世帯内の収入であればすべて合算できるわけではありません。


「家族滞在」など就労を目的としない在留資格の方が、資格外活動許可を受けて得ている収入については、原則として世帯年収に合算しないとされています。


一方、申請者が扶養している親族については、海外に居住している場合でも世帯人数に加算されます。


今後は「申請者本人の年収がいくらか」だけではなく、世帯構成や扶養状況を含めて確認する必要があります。



2. 年金は「30年加入が申請条件」ではありません


今回の改定案で特に誤解されやすいのが、年金に関する考え方です。


改定案では、申請者の年齢・これまでの年金加入期間・平均年収・現在の年収などから、将来の年金受給見込額を確認します。


そして、その受給見込額について、

「日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その期間厚生年金に加入していた場合に将来受給可能な年金の見込額」に達しているかが考慮要素として示されています。


ここでいう「30年間」は申請条件ではなく、将来の年金額を評価するための比較水準として使われています。したがって、


「厚生年金に30年間加入していなければ永住申請ができない」

という意味ではありません。


また、将来の年金受給見込額がこの水準に達しない場合でも、受給年金水準に不足する生活資金を補填できる金融資産を有すると認められる場合には、受給見込額が一定の水準に達しているものと評価する考え方が示されています。


金融資産については申請時の年齢も考慮され、若い申請者ほど必要となる補填額を低くする考え方が示されています。


なお、受給年金水準と補填資産額についても、原則として同一生計世帯単位で判断するとされています。


具体的な年金額や必要な金融資産額については、今回の改定案では示されていません。



3. 日本語能力「B1相当」が考慮要素に


改定案では、「日本語教育の参照枠」におけるB1相当レベル以上の日本語能力を有しているかが考慮要素として示されています。


B1は、仕事や学校、日常生活などで通常遭遇する身近な話題について、主要な内容を理解し、自分の考えをある程度表現できる水準です。注意したいのは、「B1=JLPT N3合格」

とは単純に言えないことです。


N3合格者でも、総合得点によってCEFRの参考表示がA2となる場合とB1となる場合があります。


また、今回の改定案では、具体的にどの試験や方法でB1相当の日本語能力を確認するかまでは示されていません。


今後の正式なガイドラインと運用方法の確認が必要です。


なお、高度人材外国人やその家族、日本の初等教育または中等教育を累計6年以上受けた方などについては、本人のB1相当の日本語能力を考慮要素としない場合も示されています。



4. 日本の制度・ルールへの理解も確認される予定


日本語能力とは別に、日本の制度や生活上のルールについて理解しているかどうかも、審査上の考慮要素となる予定です。


改定案では、出入国在留管理庁長官が指定する方法により、「生活・就労ガイドブック」に記載されている事項を中心に、日本の制度やルールについての理解を確認するとされています。


ただし、どのような方法で確認を行うのかについては、現時点では具体的に示されていません。



5. 配偶者等の在留期間特例は要件が延長される予定


永住許可では、原則として引き続き10年以上日本に在留していることが求められます。


ただし、日本人・永住者または特別永住者の配偶者などについては、この「原則10年在留」に特例が設けられています。


現在、日本人・永住者または特別永住者の配偶者については、

  • 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続していること

  • 引き続き1年以上日本に在留していること

を満たせば、原則10年在留の特例を受けることができます。


改定案では、この要件が次のように延長される予定です。

項目

現行

改定案

婚姻継続期間

3年以上

5年以上

日本での在留期間

1年以上

3年以上

また、その実子等についても、日本で必要となる継続在留期間が現在の1年以上から3年以上へ変更される案となっています。


原則10年在留の特例を利用して永住申請を予定している方にとっては、特に影響の大きい変更となる可能性があります。



6. 長期間日本を離れている場合の考え方が明確化


改定案では、「継続して日本に在留している」と評価する際の出国期間について、具体的な考え方が示されました。


申請時点から過去10年以内に、

  • 合理的な理由なく、1回の出国で半年以上日本を離れている場合

  • 合理的な理由なく、合計2年6か月以上日本を離れている場合

には、原則として消極的に評価するとされています。


単に、

「半年以上出国したら永住できない」

という基準ではない点は押さえておく必要があります。


海外勤務や長期出張など、出国期間が長くなった合理的な理由がある場合には、その事情も含めて判断されます。


海外との往来が多い方については、今後これまで以上に出国期間とその理由を整理しておくことが重要です。



7. 学齢期の子どもの就学も考慮要素に


申請者が義務教育期間にある子どもを養育している場合、その子が小学校または中学校に通学していることも考慮要素として明記されています。


申請者本人が学齢期にある場合についても同様です。


これまでの永住許可ガイドラインにはなかった項目であり、学齢期の子どもを養育している世帯では確認が必要となります。



まとめ:次に取るべき一歩


今回の改定案で示された内容は多岐にわたりますが、現時点ではまだ改定案の段階です。

具体的な年収水準・年金額・金融資産額・日本語能力の確認方法など、今後の正式なガイドラインで明らかになる事項も残っています。


今から確認しておきたいこと

  • 適用時期収入および「公共の負担とならないこと」に関する考え方は2026年10月1日から適用開始予定。その他の改定内容は、原則として2027年4月1日以降の申請から適用予定

  • すでに申請している場合2026年4月1日以降に申請し、2026年10月1日時点で審査中の案件には、収入等に関する新しい考え方が適用される可能性がある

  • 収入申請者本人だけでなく、世帯構成・扶養状況を含めて確認する

  • 年金・金融資産将来の年金受給見込額と金融資産の状況を確認する

  • 配偶者等の特例特例を利用する予定の場合は、婚姻継続期間と日本での在留期間を確認する

  • 出国歴過去10年以内の出国期間と、長期間日本を離れていた場合の理由を整理する


永住申請を予定している方については、現在の条件だけで判断せず、正式なガイドラインの

内容と適用時期を確認したうえで準備することが重要です。

当事務所でも、正式なガイドラインが公表された後、本記事の内容を更新する予定です。



永住許可申請について個別に確認したい方へ


永住許可の審査では、在留期間や収入だけでなく、世帯構成、年金加入状況、納税・社会保険の履行状況、出国歴など、申請者ごとの事情を確認する必要があります。


また、今回公表されたガイドライン改定案についても、申請時期によって適用される考え方が異なる可能性があります。


当事務所では、永住許可申請をご検討の方について、現在の状況と必要な資料を確認したうえで、対応可否や申請に向けて確認すべき事項をご案内しています。


ご依頼をご検討の場合は、依頼フォームから「永住許可」を選択し、現在の在留資格、永住申請を予定している時期、確認したい事項などをお知らせください。


送信時点で契約が成立するものではありません。内容を確認後、対応方法や費用についてご案内します。




参考資料

  • 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン改定案」

  • 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン改定(案)(概要)」

  • 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」

  • 法務省「令和8年8月4日 法務大臣閣議後記者会見の概要」

  • 日本語能力試験(JLPT)「CEFRレベル参考表示について」

 
 
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