経営管理ビザ|3年間の経過措置と「更新期間」の考え方
- 千代田国際行政書士事務所
- 2025年12月5日
- 読了時間: 7分
更新日:1月27日
2025年10月16日の改正で、経営管理ビザに「資本金3,000万円基準」と「3年間の経過措置」が導入されました。
本記事は既存ホルダー向けに、経過措置と更新審査の要点を実務目線で整理します。
あわせて在留期間(1年・3年・5年)の意味、2028年10月16日以降に想定される「最初の更新」の考え方もまとめます。

2025年10月16日の改正により、在留資格「経営・管理」の基準は大きく見直されました。資本金等3,000万円以上、本邦居住の常勤職員 1 名以上、日本語能力や経歴要件に関する取扱いの見直しなど、これから新規で取得を目指す方にとっては、従来とは前提が異なる制度運用になりつつあります。
一方で、すでに旧基準で経営管理ビザを持っている方には、「3年間の経過措置」 が設けられています。この「3年間」をどのように理解し、どう準備しておくかによって、更新戦略や今後の選択肢が変わってきます。
このページでわかること(既存ホルダー向け)
経過措置の大まかな位置づけ
更新時に注目されやすいポイント
在留期間(1年・3年・5年)が持つメッセージ
2028年10月16日以降の「最初の更新」が意味するもの
※本記事は既存ホルダー向けの整理です。新規取得の要件整理は別記事で扱います。
以上を、現時点で公表されている情報および各種解説を踏まえつつ、実務目線で整理します。
1.「3年間の経過措置」とは何か
対象になると考えられる方
法務省の発表や専門家による解説から、概ね次のような方が経過措置の対象と理解されています。
2025年10月16日の施行日前から「経営・管理」で在留している方
2025年10月15日までに申請が受理され、旧基準に基づいて審査・許可された方
期間のイメージ
施行日:2025年10月16日
経過措置が意識される期限:2028年10月16日までに行う在留期間更新許可申請
このため、
「2028年10月16日までに出した更新申請」については、新基準を完全に満たしていない場合であっても、経営状況や今後の見込みを含めて総合的に判断される運用が想定されています。と整理しておくと、実務上イメージしやすくなります。
ここで重要なのは、
「3年間は旧基準のままで安心」という意味ではないこと
「3年かけて新基準に近づいてください」という観察期間・調整期間としての性格が強いことです。
2. 経過措置は「猶予」ではなく「観察期間」と考える
経過措置に関する説明では、しばしば次のような趣旨の文言が用いられます:
新基準に適合していない場合であっても、経営状況や、改正後の基準に適合する見込みなどを総合的に考慮して許否判断を行う。
ここでの「見込み」という言葉が、実務上はかなり重要な意味を持ちます。
経過措置期間中、更新で見られやすいポイント
経過措置の3年間、更新審査では概ね次のような点が重視されると考えられます。
事業の実態
売上・取引の継続性
事業内容と収支の整合性
実際に経営活動が行われているか
公租公課の履行状況
法人税・消費税・各種地方税の申告・納付
社会保険・労働保険の加入・納付
今後、新基準に向けて整備していく現実的な計画
資本金・投資額をどのようなペースで増やしていくのか
常勤職員をいつ、どのような体制から採用するのか
日本語能力や経歴要件をどの段階でクリアしていくのか
これらを裏付ける数値計画・事業計画書をどう用意するのか
実務的には、
「今の規模のまま維持する前提なのか」それとも「新基準側に寄せていく前提なのか」
を、数字と実態の両面から説明できるかどうかがポイントになっていくと考えられます。
3. 在留期間(1年・3年・5年)は「評価結果」という側面が強まる
改正後は、更新の可否だけでなく、付与される在留期間の長さも、新要件をどの程度クリアしているかを反映した「メッセージ」として扱われる傾向が強まると指摘されています。
あくまで一般的なイメージですが、次のように捉えておくと整理しやすくなります。
1年更新
新基準からまだ一定の距離がある
事業の実態はあるものの、規模・雇用・公租公課などに改善余地が大きい
入管としては「もう少し様子を見たい」という評価に近い状態
3年更新
新基準にかなり近づいている
資本金・事業規模・雇用体制・納税状況などが一定レベルに達している
「経営者としての在留は概ね安定している」と評価されていると考えられる状態
5年更新
新基準を十分に満たしており、事業・在留ともに安定性が高い
収支・雇用・納税・日本語能力など、総合的にリスクが低いと判断され得る状態
経過措置の期間中であっても、
新基準から距離がある場合には、不許可とまではいかなくても、短期更新での様子見となる可能性が高まるという運用イメージを持っておくと、過度な期待や誤解を防ぎやすくなります。
4. タイムライン別に見る:更新と経過措置
少し時間軸に沿って見ていくと、経過措置と更新の関係がイメージしやすくなります。
ケース A:すでに「経営・管理」で在留中の方
2024年に旧基準で許可(在留 1 年)
2026年に更新申請(この時点では経過措置期間内)
この 2026 年の更新については:
新基準を完全に満たしていない場合でも、
これまでの事業実績
公租公課の履行状況
増資や雇用計画などの「今後の見込み」を踏まえて、許否や在留期間が総合的に判断される運用が想定されます。
ここで 3 年が付与されれば、在留期限は 2029 年まで伸びることも制度上は考えられますが、次の更新(=経過措置終了後に行う最初の更新)では、新基準が原則として前提になると理解しておく必要があります。
ケース B:長期間、規模がほとんど変わらない場合
資本金・投下資金が少額のまま
常勤職員なし
納税・保険の体制も十分に整っていない
このような場合には、
経過措置期間内であっても更新が厳しくなりやすく、
更新できたとしても、在留期間は1年、あるいはそれより短く抑えられる可能性が高い
と指摘されています。
5. 2028年10月17日以降の「最初の更新」が分岐点
経過措置期間が終わる 2028年10月16日 以降に行う更新申請については、原則として改正後の新基準に適合していることが求められる方向性が示されています。
資本金・事業規模(原則 3,000万円)
常勤職員 1 名以上
日本語能力
経歴(学歴・職歴)
専門家による事業計画の確認 など
もっとも、一部の解説では、
経営状況が良好で、
公租公課も適切に履行し、
次回更新までに新基準を満たす具体的見込みがある場合には、
個別事情を踏まえた判断の余地が残されている可能性にも言及されています。
ただし、これはあくまで「例外的な裁量」の範囲にとどまると考えられ、
6. この3年間で準備しておきたいこと
経過措置の3年間は、単なる「延長」ではなく、新基準に近づくための準備期間と捉えておくと、具体的な行動が決めやすくなります。
例えば、次のような点を計画的に整理しておくことが重要になります:
資本金・投下資金を、どのようなスケジュールで増やしていくか
常勤職員を、いつ・どのポジションから採用するか
社会保険・労働保険・税務の体制を、いつまでに整えるか
日本語能力や経歴要件について、どの段階でクリアしていくか
これらを裏付ける数値計画・事業計画書を、どのような形で用意するか(必要に応じて、専門家の確認書・意見書を含めて検討する)
7. おわりに ―「更新が通るか」だけでなく、「何年付くか」を意識する
改正前の実務では、
初回 1 年 → 特に問題がなければ 3 年
というパターンが少なくありませんでした。
しかし改正後は、
更新が許可されるかどうか だけでなく、「1年・3年・5年のどれが付くか」自体が、新要件に対する評価結果として扱われる時代に移行しつつあると考えられます。
本稿は、2025年12月時点で公表されている情報および複数の専門家解説を参考にしつつ、筆者なりに実務目線で整理したものです。個別案件の許可を保証するものではなく、実際の更新に際しては、会社の状況・数値・計画を踏まえた個別の検討が不可欠となります。
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