経営管理ビザ目的で会社を作る前に確認したいこと
- 千代田国際行政書士事務所
- 7月1日
- 読了時間: 8分

「日本で会社を作れば経営管理ビザが取れる」と考えていませんか。
会社設立は重要な準備ですが、それだけで十分とは限りません。
会社を設立すること自体はできますが、会社を作ったことがそのまま経営管理ビザの許可につながるわけではありません。特に令和7年10月16日施行の制度改正後は、常勤職員、資本金等、事業計画書の専門家確認、日本語能力など、会社設立だけでは完結しない確認項目があります。
まず、この記事が参考になるケース
次のような状況であれば、この記事の内容が参考になります。
日本で会社を作って経営管理ビザを申請したい
会社設立を先に進めてよいか迷っている
会社設立・ビザ・税務・雇用の順序がわからない
新しい基準になってから、何を先に確認すべきか不安がある
司法書士・税理士・行政書士のどこに先に相談すべきかわからない
会社設立後にビザ申請で困らないよう、事前に全体像を整理したい
なお、本記事は主に、これから日本で会社を設立して経営管理ビザを検討する方向けの内容です。海外本社から日本法人の代表者として派遣されるケースでは、本社との関係・職務内容・報酬・税務など、確認すべきポイントが異なります。
目次
1. 会社設立を先に進める前に確認したい理由
経営管理ビザを目的とする場合、会社設立と在留資格の準備を別々に考えない方がよい理由があります。
会社を作った後で次のような問題が出ることがあるからです。
事業内容が経営管理ビザの活動として説明しにくい
事業計画の内容が会社の実態と合っていない
事務所や雇用の準備が基準に合っていない
会社設立時の内容を後から修正する必要が生じる
税務・会計の準備が後回しになり、事業実績を説明しにくくなる
経営管理ビザは、会社を作った事実だけを見る手続きではありません。日本でどのような事業を行い、どのように会社を運営していくのかを説明する必要があります。会社設立を先に進める前に、在留資格・事業計画・税務・雇用の全体像を確認しておくことが重要です。
2. 会社設立前に確認したい5つのポイント
ポイント① 自分の活動が「経営・管理」として説明できるか
出入国在留管理庁の在留資格一覧では、「経営・管理」は日本で貿易その他の事業の経営を行い、またはその事業の管理に従事する活動とされています。単に会社を持つだけでなく、実際にその会社の経営または管理に関わる活動を行うことが前提です。
会社設立前に整理しておきたいこと:
どのような事業を行うのか
誰に対してサービスや商品を提供するのか
どのように売上を得るのか
申請人本人がどのような立場で経営に関与するのか
実務を誰が担当し、どのような運営体制にするのか
事業内容があいまいなまま会社を作ると、後から事業計画書や申請資料の説明が難しくなります。
ポイント② 会社設立の内容と事業計画が合っているか
会社設立時には、商号・本店所在地・事業目的・資本金・役員構成などを決めます。これらは単なる登記上の情報ではなく、後で作成する事業計画書の内容と自然につながっていることが重要です。
次のようなずれがあると、説明がわかりにくくなります:
定款の事業目的と実際に行う事業が合っていない
事務所の規模と事業計画の規模が合っていない
事業計画では大きな売上を予定しているが、運営体制が整っていない
申請人の経験と事業内容のつながりが弱い
会社設立は、ビザ申請のための「形式」ではなく、これから行う事業の土台です。後から説明しやすい形で会社を設計しておくことが大切です。
ポイント③ 事業所をどう確保するか
会社設立のために住所を用意することと、経営管理ビザの申請上「事業を行う場所」として説明できることは同じではありません。
確認しておきたいこと:
その場所で予定している事業を行えるか
賃貸借契約の名義や使用目的は適切か
事業用スペースとして説明できるか
会社の本店所在地と実際の事業場所の関係は整理できているか
事業内容に対して事務所の規模・設備が不自然ではないか
事務所は、会社設立のためだけに考えるのではなく、事業内容・経営管理ビザの説明と合わせて選ぶ必要があります。
ポイント④ 雇用や運営体制をどう考えるか
令和7年10月16日施行の制度改正後は、事業を運営する体制についての確認が特に重要になっています。
会社設立前に整理しておきたいこと:
常勤職員を雇用する予定があるか
誰がどの業務を担当するのか
申請人本人は経営者として何を行うのか
雇用に伴う給与・社会保険・労務管理をどう進めるのか
税理士や社会保険労務士など、他の専門家との連携が必要か
会社を設立するだけでなく、その会社を実際に運営できる体制を説明できるかが大切です。
ポイント⑤ 税務・会計をいつから整理するか
会社設立後は、税務署への届出・会計処理・請求書や領収書の保存・給与処理など、会社運営に関する実務がすぐに始まります。これらを後回しにすると次のような問題が起きやすくなります。
会社と個人のお金の区別があいまいになる
事業開始後の売上や経費を整理しにくくなる
決算や更新時に事業実績を説明しにくくなる
会社運営の実態が資料として残りにくくなる
経営管理ビザは、申請時だけでなく取得後の更新にもつながります。会社設立前から、税務・会計の流れを確認しておくことが大切です。
3. 専門家が分かれているときに整合性を保つには
会社設立・経営管理ビザ・税務・会計・労務は、それぞれ別の専門分野です。司法書士は会社設立登記、税理士は税務・会計、行政書士は在留資格申請、社会保険労務士は労務管理を中心に扱います。別々の専門家に相談すること自体は自然なことです。
ただし、それぞれを完全に分けて進めると、後から全体の整合性が取れなくなることがあります。
よくある例:
会社設立はできたが、ビザ申請上の活動説明が弱い
税務上は問題ないが、在留資格上の運営体制の説明が不十分
事務所契約は済んだが、事業内容と合っているか確認できていない
事業計画書と会社登記の内容が合っていない
こうした問題を防ぐためには、最初に全体の順序と各専門家の役割を整理してから、それぞれの手続きを進める方が安全です。誰がどの判断を担当するかを最初に明確にしておくことが、後戻りを減らすポイントになります。
4. 新基準後に注意したいこと
出入国在留管理庁は、令和7年10月16日施行の「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正を公表しています。
改正後は、事業所・常勤職員・資本金または出資総額・事業計画書の専門家確認・日本語能力など、会社設立だけでは完結しない確認項目が増えています。
次のような考え方だけで進めるのはリスクがあります:
「会社を作ればよい」
「資本金を用意すればよい」
「事務所を借りればよい」
「事業計画書を作ればよい」
古い記事や過去の一般論だけを参考にせず、現在の基準に合わせて準備内容を確認することが重要です。
5. 会社を作る前に整理しておきたい事実
会社設立前に次の点を整理しておくと、後から方針を判断しやすくなります。特に重要なのは最初の3項目です。
▼ 特に優先して整理したいこと
事業内容
何を提供する会社なのか
顧客は誰か、どのように売上を得るのか
日本でどのように事業を行うのかを説明できるか
申請人本人の役割
申請人は経営者として何を担当するのか
本人の経験・スキルと事業内容につながりがあるか
実務担当者は誰か
会社設立の内容
会社の目的は事業内容に合っているか
本店所在地や事業所は適切か
役員構成や資本金等はどのように設計するか
▼ 合わせて確認しておきたいこと
事業所・雇用・運営体制
事業所をどこに置くか
常勤職員をどう確保するか
給与・社会保険・労務管理をどう進めるか
税務・会計
税理士にいつ相談するか
会計ソフトや資料保存をどう始めるか
会社と個人のお金をどう分けるか
請求書・領収書・契約書をどう管理するか
6. まとめ:次に取るべき一歩
経営管理ビザを目的に会社を作る場合、会社設立を先に進める前に、在留資格・事業内容・事業計画・事業所・雇用・税務・会計の全体像を確認しておくことが重要です。令和7年10月16日施行の制度改正後は、特にこの事前確認の重要性が増しています。
相談や次のステップに進む前に、まず次の情報を手元で整理しておくと、今後の方針を決めやすくなります。
特に重要な3項目
事業内容のメモ(誰に・何を・どのように提供するか)
申請人本人の職歴・スキルの概要
現在の在留資格と期限
合わせて準備できると望ましいもの
事業所の候補と契約状況
雇用予定の有無と時期
資本金・出資の状況
事業計画や収支見込みの概要
これらを整理したうえで、次のような点は一般的な制度説明だけでは判断しにくいことがあります。
会社設立を先に進めてよい状況か
事業内容や会社設立の内容が経営管理ビザの申請方針と合っているか
事業所・雇用・資本金・事業計画をどの順番で準備すべきか
当事務所の有料相談(予約制)では、制度の一般的な説明にとどまらず、提出資料との整合性・事業計画・会社設立内容・申請方針上の注意点を確認しています。
ご相談の際は、資料の確認を前提としております。匿名でのご相談、資料確認を伴わない個別判断、無料での申請可否判断には対応しておりません。
本記事は、出入国在留管理庁の「経営・管理」在留資格ページ、在留資格一覧、令和7年10月16日施行の「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正資料を確認したうえで作成しています。
